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体上のベクトル空間のテンソル積についての覚書

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 アティマクの演習問題を解いていたら必要になったものについて紹介します。

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 \(k\) を体、\(V, W\) を空でない \(k\) 上のベクトル空間とする。  このとき、次が成り立つ: \[ \operatorname{dim}_k (V\otimes_k W) = \operatorname{dim}_k (V) \times \operatorname{dim}_k (W). \]

証明

 \(\{e_i\}_{i \in I}, \{f_j\}_{j \in J}\) を \(k\) -ベクトル空間 \(V, W\) の基底とする。  このとき、\(\{e_i\otimes f_j\}_{i \in I, j \in J}\) が \(V\otimes_k W\) の基底を成していれば十分である。 テンソル積の構成から \(\{e_i\otimes f_j\}_{i \in I, j \in J}\) が \(V\otimes_k W\) を生成することは明らかなので、これが一次独立であることを示す。  背理法を用いる。 \(\{e_i\otimes f_j\}_{i \in I, j \in J}\) が一次従属であると仮定する。ここで、\(e_i\otimes f_j = 0\) となるものが少なくとも一つ存在する。 すると、\(e_i, f_j\) の少なくとも一方が \(0\) であるが、\(e_i, f_j\) はそれぞれ \(k\) -ベクトル空間 \(V, W\) の基底なので、\(0\) ではないので矛盾する。  よって証明が完了する。

例えば、\(k\) を一般の体、\(V, W\) を \(k\) 係数多項式環 \(k[X], k[Y]\) とすると、\(V\otimes_k W = k[X,Y]\) なので、 \begin{align} \operatorname{dim}_k (V\otimes_k W) = \operatorname{dim}_k (V) \times \operatorname{dim}_k (W) = \infty. \end{align}

ファイバーの次元とか調べるときに使いそう(小並)

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